遺産分割と相続登記に関する法改正(窪田充見)

法律時評(法律時報)| 2021.06.29
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」93巻8号(2021年7月号)に掲載されているものです。◆

所有者不明土地の解消に向けた民事法制の見直しとして、「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が令和3年4月21日に成立し、同月28日に公布された。

この改正の内容は多岐にわたるが、その柱のひとつが相続に関わる部分である。相続法については、平成30年、多岐にわたる法改正が実現したが、あまり間を置かずに、さらに改正がされたことになる。今回の改正の紹介や検討は今後なされていくものと思われるが、ここでは相続法に関わる基本的な部分について、ごく簡単に今回の改正の内容を確認し、その意義などについて考えてみたい。

1 今回の改正の背景

今回の改正は、所有者不明土地(不動産登記簿により所有者がただちに判明しない土地、所有者が判明しても所在が不明で連絡が付かない土地)をめぐる問題への対応を、その課題としている(法制審議会民法・不動産登記法部会の部会資料1)。こうした所有者不明土地が生じる背景として、相続との関係では、特に二つの理由が挙げられる。

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