袴田事件再審開始決定の確定と再審法の改正(木谷明)

法律時評(法律時報)| 2023.06.27
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」95巻8号(2023年7月号)に掲載されているものです。◆

1 袴田事件再審開始決定の確定

いわゆる袴田事件(袴田巌氏が住居侵入・強盗殺人・放火罪で起訴された事件)について、「確定した死刑判決」に対する再審開始決定が確定した。静岡地裁の再審開始決定(第二次再審請求審の村山決定)に対する検察官の即時抗告が、二度目の即時抗告審(東京高裁の大善コート)で棄却され(以下「大善決定」)、検察官が特別抗告を断念したからである。

無実の巌氏に誤った死刑判決が執行されるという最悪の事態を回避できたことは喜ばしい。

しかし、これを「めでたしめでたし」で終わらせてしまってはならない。本件を巡っては、えん罪防止や再審制度のあり方などについて検討の必要性を示唆する問題が余りにも多いからである。

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