(第15回)観念の形

人文的な数学の話(井ノ口順一)| 2022.03.14
文学を読んでいても,人文・社会系の本を読んでいても,ついつい数学の目で見てしまい,いつの間にか話が数学になってしまいます.意外や意外,数学の話題が溢れているのです.数学者になってしまったばかりに気になってしまうことを日常生活のひとこまや読書を通じてご紹介していきます.ときどきはディープな話題に迷い込むかもしれません.
$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$

デジタル時代になっても相変わらず新聞のサンヤツ (朝刊 1 面の下にある出版物の広告欄) を毎日眺めています.2021 年 12 月 25 日発売の「芸術新潮」 2022 年 1 月号の広告で特集「杉本博司と日本の神々」という見出しを見て足早に書店に向かいました.

書店では,「芸術新潮」だけでなく岩波書店の広報誌「図書」にも目が止まりました.「図書」の2022 年 1 月号から表紙シリーズ「ポートレイト」が始まっていたのです.杉本氏の作品集「ポートレイト」から一人の歴史的人物 (?) を取り上げてエッセイを書かれているのです.人物 (?) と書いたのは,被写体がマダム・タッソー蝋人形館所蔵の蝋人形だからです.そういえば「シャーロックホームズの事件簿」の「マザリンの宝石」でセリフにマダム・タッソーが登場していたことを思い出しました (探してみてください).

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

井ノ口順一(いのぐち・じゅんいち)
1967 年千葉県銚子市生まれ.東京都立大学大学院理学研究科博士課程数学専攻単位取得退学.現在,筑波大学数学域教授.
教育学修士(数学教育), 博士(理学).専門は可積分幾何・差分幾何.
著書に『リッカチのひ・み・つ---解ける微分方程式の理由を探る』(日本評論社, 2010),『どこにでも居る幾何---アサガオから宇宙まで』(日本評論社, 2010),『曲線とソリトン』(朝倉書店, 2010),『常微分方程式NBS』(日本評論社,2015),『初学者のための偏微分∂を学ぶ』(現代数学社,2019)等.
日本カウンセリング・アカデミー修了, 星空案内人(準案内人), 日本野鳥の会会員.