(第2回)時を味方につける(1)—法令をいつから施行するか(笠松珠美)
新 行政用語の常識――用語から学ぶ行政手法| 2026.07.21
『新 法令用語の常識』『新 法令解釈・作成の常識』の著者・吉田利宏(元衆議院法制局参事)が、現職の衆議院法制局職員である笠松珠美と共に執筆する新連載。行政に関わる人たちに向けて、行政手法(行政目的を実現するための手法)を使いこなすために、キーワードとなる行政用語を通じて、行政手法をその前提となる法制度と併せて理解することを提案。行政用語に関する知識が政策立案や法令の理解に欠かせない新常識になることを期待して「新 行政用語の常識」と題した連載がスタートします。1 はじめに
法令を作るとき、それがどのような内容であっても、必ず考えなければならない点があります。それは、「いつから」法令を動かし始める(=施行する)のかということです。そこで、日本のほとんどあらゆる法令には、いつから施行するかを定める「施行期日」の規定があります。では、法令をいつから施行するかを検討する際、何を考慮要素として考えればよいでしょうか。施行期日の定め方とあわせて、見ていきましょう。
2 公布
国会に提出された法律案は、原則として、衆議院と参議院の両議院で可決されたときに成立し、法律となります。成立した法律をはじめとする法令を国民に周知することを「公布」(こうふ)といいます。法律の公布は、最後の議決が行われた院の議長から内閣を経由して奏上(そうじょう)が行われ、閣議決定を経て、天皇の国事行為として、法律の条文を官報に掲載することによって行われています。公布は、奏上の日から30日以内に行わなければならないこととされていますが、多くの場合、奏上から1週間程度で公布されています。
条例の場合は、地方公共団体の議会の議決から3日以内に議長から地方公共団体の長(知事・市町村長)に送付し、地方公共団体の長は、原則として、送付を受けた日から20日以内に公布しなければならないこととされています。地方公共団体の条例や規則の公布の方法は条例で定められていますが、その地方公共団体の公報に掲載する、掲示場に掲示するといった方法によって公布が行われています。
吉田利宏(よしだ・としひろ)
1963年生まれ。1987年衆議院法制局入局。以後15年にわたり議員立法や修正案の作成に参画。主な著書に、『新 法令用語の常識〔第2版〕』『新 法令解釈・作成の常識〔第2版〕』(日本評論社)、『法実務からみた行政法』『法令読解心得帖』(共著、日本評論社)、『政策立案者のための条例づくり入門』(共著、学陽書房)、『つかむ・つかえる行政法〔第2版〕』『法学のお作法』(法律文化社)、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術(第4版)』『同 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方』『同 民法を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)などがある。
笠松 珠美(かさまつ・たまみ)
衆議院法制局法制企画調整部総務課長。2000年に衆議院法制局に入局し、現在まで、憲法、国会、選挙、内閣、安全保障、地方自治、法務、環境、農林水産、厚生労働など、幅広い分野の議員立法・修正案の立案等を担当。『条文の読み方(第2版)』(有斐閣、2021年)の共同執筆者の一人。なお、本稿は筆者の私見であり、所属する組織の見解ではありません。
1963年生まれ。1987年衆議院法制局入局。以後15年にわたり議員立法や修正案の作成に参画。主な著書に、『新 法令用語の常識〔第2版〕』『新 法令解釈・作成の常識〔第2版〕』(日本評論社)、『法実務からみた行政法』『法令読解心得帖』(共著、日本評論社)、『政策立案者のための条例づくり入門』(共著、学陽書房)、『つかむ・つかえる行政法〔第2版〕』『法学のお作法』(法律文化社)、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術(第4版)』『同 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方』『同 民法を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)などがある。
笠松 珠美(かさまつ・たまみ)

衆議院法制局法制企画調整部総務課長。2000年に衆議院法制局に入局し、現在まで、憲法、国会、選挙、内閣、安全保障、地方自治、法務、環境、農林水産、厚生労働など、幅広い分野の議員立法・修正案の立案等を担当。『条文の読み方(第2版)』(有斐閣、2021年)の共同執筆者の一人。なお、本稿は筆者の私見であり、所属する組織の見解ではありません。














