(第2回)法セミ2020年5月号の学び方のポイント&例題

Webでも!初歩からはじめる物権法(山野目章夫)| 2020.03.17
本コーナーは、雑誌「法学セミナー」と連動した企画です。
連載に先だって、次回取り扱う内容のポイントと例題を掲載していきます。予習に、力試しに、ぜひご活用ください。そして、「法学セミナー」本誌もあわせてご覧ください。初学者の強い味方となる「初歩からはじめる物権法」、2020年4月号より連載開始です!

(毎月中旬更新予定)

雑誌「法学セミナー」が新年度から装いを新しくしました。この機会に始める連載の一つが「初歩からはじめる物権法」です。法学セミナーは、法律を勉強する学生諸君のための学習雑誌ですが、学生でない方々も興味があれば、ぜひご覧ください。

連載の対象とする分野は、民法のなかでも、175条から後の物権法です。不動産登記制度が大きく動く時代にこの連載を進めていきます。各号の刊行に際し、その回で取り上げる話題の一端は、このウェブサイトにおいてあらかじめご紹介をします。

第2回は、つぎのようなことを話題としますから、興味がある方は、ご覧になってください。

連載第2回の「学び方のポイント」

    〇 登記をしないと第三者に対抗することができない物権変動とは、どのようなものか。
    〇 不動産を売ったが騙されたと気づき売買を取り消した者は、そのことを登記しないと第三者に対抗することができないか。不動産を売ったが代金を支払ってもらえず契約を解除した者は、どうか。
    〇 ある土地をどうしても欲しい、と考える事業者がいるとしよう。けれども、その土地の所有権の登記名義人が土地を取得した経緯をめぐっては、その人が前の所有者を騙して買ったものであるとか、あるいは代金を支払っていなくてトラブルになっているという噂がある。事業者は、土地を取得するため、だれとどのように交渉をすればよいか。
    〇 長野県の別荘を買って登記をした東京の人が、大阪に住所が変わった場合において、住所が大阪であることを登記しないと長野県の別荘の所有権を主張することができなくなるか。
    〇 東京に所在する建物を買い、しばらく住んでいた者がロンドンに移り住むことになった場合において、国内の連絡先を登記しないと、建物の所有権を主張することができなくなるか。

連載第2回の「例題」

【例題1】
Aの所有する甲土地をBが買い受ける旨の契約がA・B間に成立した。Bが代金を支払わないことからAが541条の手順を経て契約を解除した場合において、Aは、Bから甲土地を買ったCに対しても、Aの下に所有権がとどまっていることを主張することができるか。

【例題2】

乙土地は、2000年当時、Aが所有しており、Aを登記名義人とする登記がされていた。

Bは、同年、乙土地の占有を始めた。

A・Cは、2007年、乙土地をAがCに売る旨の契約をし、この契約に基づきA→Cの所有権の移転の登記がされた。2021年、Aに対し、取得時効を援用したBは、Cに対し、乙土地の所有権を主張することができるか。

A・Cが乙土地の売買契約をし、その登記をした時期が2022年であるとする場合は、どうか。


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山野目章夫(やまのめ・あきお 早稲田大学教授)
1958年生まれ。亜細亜大学法学部専任講師、中央大学法学部助教授を経て現職。
著書に、『不動産登記法 第2版』(商事法務、2020年)、『ストーリーに学ぶ 所有者不明土地の論点』(商事法務、2018年)、『詳解 改正民法』(共著、商事法務、2018年)、『新・判例ハンドブック1、2』(日本評論社、2018年)、『物権法 第5版』(日本評論社、2012年)など。