科学技術基本法改正の意義と課題(佐藤岩夫)

法律時評(法律時報)| 2020.01.29
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」92巻2号(2020年2月号)に掲載されているものです。◆

1 はじめに

現在政府において科学技術基本法の改正が検討されており、昨年末に、法改正の基本的方向性を審議してきた総合科学技術・イノベーション会議・基本計画専門調査会・制度課題ワーキンググループの報告書(『科学技術・イノベーション創出の総合的な振興に向けた科学技術基本法等の在り方について』、2019年11月20日。以下「WG報告書」という。)が公表された1)。これをうけて政府において具体的な法改正作業が進められ、次期(第6期)科学技術基本計画(2021年度~ 2025年度)の策定作業に間に合わせるため、今年1月からの通常国会での成立が目指されている。

実現すれば法制定後四半世紀ぶりの大きな見直しとなる今回の改正は、日本における科学・技術政策、ひいては日本の学術のあり方にも重要な影響を与える可能性がある。本稿は、WG報告書の取りまとめを機縁に、現在進行中の科学技術基本法改正の意義と課題を整理する。なお、筆者は日本学術会議のメンバーとしてこの問題に関心を持ち、上記WGにおいてもその立場から若干の発言を行ってきたが、本稿で意見にわたる部分は筆者個人の見解である。

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脚注   [ + ]

1. 報告書は、WG(全5回)の配付資料・議事録とともにWGのウェッブサイトに掲載されている。