廃プラスチックと環境法(北村喜宣)

法律時評(法律時報)| 2019.12.27
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」92巻1号(2020年1月号)に掲載されているものです。◆

1 踊る「プラスチック」

2018年は、新聞紙上に「プラスチック」という文字が最も多く踊った年であっただろう。

その原因のひとつは、それまで世界のプラスチック廃棄物の約56%を輸入していた中国が、原則輸入禁止措置を2017年末に発表したことにある。輸入された廃棄物による環境汚染、そして、自国内発生の廃棄物のリサイクルを優先するなどの理由である。この突然の出来事は、まさにチャイナショックであり、同国に漫然と依存していた日本国内の廃プラスチックの処理は、パニック状態に陥った。現在では、やや落ち着きをみせているものの、輸出できないという状況には、基本的に変わりがない。

チャイナショックは、社会に対して、「プラスチックとどう付き合うか」という課題を提示した。国際比較でみた場合、とりわけ人口1人あたりのプラスチック容器包装消費量がアメリカ合衆国に次いで多い日本は、より踏み込んだ対策を講ずる国際的責務がある。この小稿では、環境法の観点から、いくつかの側面に接近してみたい。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について