参院選雑感─「初物」への期待(南野森)

法律時評(法律時報)| 2019.09.30
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」91巻11号(2019年10月号)に掲載されているものです。◆

1 亥年選挙の波乱?

戦後25回目となる参議院選挙が7月4日に公示され、21日に投開票日を迎えた。4月の統一地方選挙と夏の参院選が12年に1度重なる「亥年(いどし)選挙」は、投票率が下がり、自民党が苦戦し、波乱が起きるなどと言われる(石川真澄『データ戦後政治史』(岩波新書、1984年))。実際、前回の亥年選挙すなわち2007年7月の参院選について言うと、自民党が改選議席64のうち獲得議席はわずか37という歴史的大敗を喫し、その2か月後には安倍内閣が退陣、そしてその1年後には福田内閣が、さらにその1年後には麻生内閣が、それぞれ短命のうちに退陣し、そして2009年8月末の総選挙で民主党が圧勝、政権交代へとつながったことからすると、(投票率が下がるという石川の仮説は当てはまらなかったものの)たしかに波乱につながる亥年選挙と言えるものではあった。

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