(第4回)沼――大麻取締法違反

ただいま調査中! 家庭裁判所事件案内(高島聡子)| 2024.01.09
2024年度前期朝ドラ『虎に翼』のモデルとなった三淵嘉子が、その設立に関わることになる家庭裁判所。戦後まもなく産声を上げた、社会的弱者のための裁判所では、令和の今、どんなことが起きているのでしょうか? そして「家庭裁判所調査官」とは、どんなお仕事?
普段は手続非公開のベールに隠れている“中の人”が、リアルな現場の点景をお伝えします。
(事件はすべて、家裁に係属する事件の特徴を踏まえて創作した架空のものです)

(毎月上旬更新予定)

[今回の記事には、薬物使用に伴う描写があります。ご注意ください]

沼の臭い

薬物使用の入口となる薬物を「ゲートウェイドラッグ」と言うが、その地位は、シンナーから大麻へと、完全に移り変わった。

少年たちの身近にあり、悪の匂いがするもの。一見深刻でなく、後腐れなくさっと手を切れそうに思えるもの。そういった意味で、シンナーと大麻は共通しているのかもしれないが、決定的に違うと思うのは、その「臭い」だ。

シンナーを吸っている子は、面接室で口を開くと息の臭いだけで分かった。胃が悪い人は口臭がひどいと言うが、そこに金属質の臭いが混じった、何とも言えない悪臭。家族が気が付かないはずはないと思う。大麻にも乾いた草のような、青臭く甘い独特な匂いがあると言われるが、少年の「外国のタバコ」などという説明を信じていたという家族は多い。

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高島聡子(たかしま・さとこ)
神戸家庭裁判所姫路支部総括主任家庭裁判所調査官。
1969年生まれ。大阪大学法学部法学科卒業。名古屋家裁、福岡家裁小倉支部、大阪家裁、東京家裁、神戸家裁伊丹支部、京都家裁、広島家裁などの勤務を経て2023年から現職。現在は少年、家事事件双方を兼務で担当。
訳書に『だいじょうぶ! 親の離婚』(共訳、日本評論社、2015年)がある。