(第3回)とるだけ育休の表裏

ただいま調査中! 家庭裁判所事件案内(高島聡子)| 2023.12.04
2024年度前期朝ドラ『虎に翼』のモデルとなった三淵嘉子が、その設立に関わることになる家庭裁判所。戦後まもなく産声を上げた、社会的弱者のための裁判所では、令和の今、どんなことが起きているのでしょうか? そして「家庭裁判所調査官」とは、どんなお仕事?
普段は手続非公開のベールに隠れている“中の人”が、リアルな現場の点景をお伝えします。
(事件はすべて、家裁に係属する事件の特徴を踏まえて創作した架空のものです)

(毎月上旬更新予定)

名探偵じゃない!

家裁調査官が登場する小説やドラマでは、よく調査官が颯爽と飛び出して行く。当事者の自宅や職場に乗り込み、いきなり身分証を見せて「私、家庭裁判所の調査官なんですけど、実は今、こんな事件が家裁に係属してまして。話を聞かせてもらえませんか?」。

けげんな顔つきの相手から明かされる意外な事実! 隠された家族の真実は――?

 

もう頭を抱えて叫びたくなる。「調査官は名探偵じゃない!」

家裁調査官の調査で、いわゆる聞き込みをすることはない。誰を調査対象にするかについては、当事者にその目的を説明して了解を得るし、基本的には当事者から相手に連絡をしてもらったうえで調査に出向く。家裁に事件が係属していること自体も、高度な個人情報だからである。

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高島聡子(たかしま・さとこ)
神戸家庭裁判所姫路支部総括主任家庭裁判所調査官。
1969年生まれ。大阪大学法学部法学科卒業。名古屋家裁、福岡家裁小倉支部、大阪家裁、東京家裁、神戸家裁伊丹支部、京都家裁、広島家裁などの勤務を経て2023年から現職。現在は少年、家事事件双方を兼務で担当。
訳書に『だいじょうぶ! 親の離婚』(共訳、日本評論社、2015年)がある。