政治的なコネと経済成長

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2023.05.30
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Akcigit, U., Baslandze, S. and Lotti, F. (2023) “Connecting to Power: Political Connections, Innovation, and Firm Dynamics,” Econometrica, 91 (2): 529-564.

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菊池信之介

はじめに

「政治的なコネ」と聞くと、何やら悪いものに思えて仕方がない。いつの時代もどこの国でも、「政治とカネ」や「天下り」は、大きな社会課題とされてきたし、時には癒着や賄賂のような形でその違法性が明らかになることも多い。経済学でも、公共事業入札における談合の実態や、企業からのロビー活動と税優遇の関係性など、多様な文脈で数多くの分析がなされてきた。

本稿では、企業が持つ政治的なコネが、企業の行動やマクロ経済のパフォーマンス及ぼす影響を、イタリアにおける労働者、企業、政治家レベルの非常に詳細なデータを用いて分析した Akcigit, Baslandze and Lotti (2023) を紹介する。

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