(第4回)住宅としての土地利用:東京湾岸のタワーマンションの風景から

歩いて学ぶ都市経済学(中島賢太郎・手島健介・山﨑潤一)| 2023.01.25
都心に高層オフィスビルが林立しているのはなぜ? 原宿にアパレルショップが集中しているのはなぜ? この連載では、日本各地の都市で見られる何気ない風景の「なぜ」を取り上げ、その背後にあると考えられる経済学的メカニズムを解説するとともに、そのメカニズムをデータを使って検証した最先端の実証研究を紹介していきます。

(毎月下旬更新予定)

はじめに

この連載第 1 回の舞台となった築地に戻ろう。皇居南端から築地へと伸びる晴海通りをそのまま歩き、隅田川を眺めながら勝鬨橋を渡ると勝どき・晴海エリアに到達するのだが、そこで景色は突如変貌する。右を見ても左を見ても高層のマンション、いわゆるタワーマンションに囲まれていることに気づくだろう。ここ勝どき・晴海エリアだけでなく、都心には多くのタワーマンションが林立している。一方、反対に築地から晴海通りを戻ればそこはすぐ銀座であり、それを超えるとすぐ丸の内である。ここでは今度は右を見ても左を見てもあるのはオフィスビルである (図  1)。

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中島賢太郎 (なかじま・けんたろう)
一橋大学イノベーション研究センター准教授。東京大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士 (経済学)。東北大学大学院経済学研究科准教授などを経て、2017年より現職。都市経済学・空間経済学を専門とする。スマートフォンGPSデータや歴史的データなど、幅広いデータを用いた実証研究を行っている。
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手島健介 (てしま・けんすけ)
一橋大学経済研究所教授。コロンビア大学経済学部博士課程修了 (Ph.D.)。メキシコ自治工科大学経済研究所助教授などを経て、2022年より現職。主にメキシコと日本のミクロデータをもとに、グローバリゼーションおよび都市にまつわる諸問題を研究している。
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山﨑潤一 (やまさき・じゅんいち)
神戸大学大学院経済学研究科講師。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSE) 博士課程修了 (Ph.D.)。神戸大学大学院経済学研究科助教などを経て、2021 年より現職。開発経済学、応用ミクロ計量経済学を専門とする。明治期の鉄道や江戸期の農業投資など、日本の歴史的データを用いた実証研究を多く行っている。
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※本連載は、共同執筆です。著者順は慣例に従いアルファベット順としています。