(第14回)再審(3):再審申立ての実際(申し立てられた側から)

民事弁護スキルアップ講座(中村真)| 2021.07.05
時代はいまや平成から令和に変わりました。価値観や社会規範の多様化とともに法律家の活躍の場も益々広がりを見せています。その一方で、法律家に求められる役割や業務の外縁が曖昧になってきている気がしてなりません。そんな時代だからこそ、改めて法律家の本来の立ち位置に目を向け、民事弁護活動のスキルアップを図りたい。本コラムは、バランス感覚を研ぎ澄ませながら、民事弁護業務のさまざまなトピックについて肩の力を抜いて書き連ねる新時代の企画です。

(毎月中旬更新予定)

ようやく緊急事態宣言も解除され、歓迎されているのかいないのかともかくとして、オリンピックまで既に1ヶ月を切りました。みなさん、大過なくお過ごしでしょうか。コロナ下での二度目の夏がやってきました。

1 再審が問題となる場面

前回まで2回にわたって、民事上の再審(民訴法338条1項)について、再審事由、再審申立ての期間制限、そして確定判決を取得されてしまった側の再審申立てについて取り上げました。

そこで3回目となる今回は、立場と視点を変え、確定判決を取得した側、すなわち再審を申し立てられた側の対応について考えてみたいと思います。もっとも、これは再審を申し立てる側に比して、通常、大きなアドバンテージがありますから、それほど神経質になる必要はありません。なお、以下では、再審での取消請求の対象となっている確定判決が得られた訴訟を、便宜上、「当初訴訟」と記載することにします。

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中村真(なかむら・まこと)
1977年兵庫県生まれ。2000年神戸大学法学部法律学科卒業。2001年司法試験合格(第56期)。2003年10月弁護士登録。以後、交通損害賠償案件、倒産処理案件その他一般民事事件等を中心に取り扱う傍ら、2018年、中小企業診断士登録。現在、大学院生として研究にも勤しみつつ、その一方で法科大学院の実務家教員として教鞭をとる身である。

著者コメント 民事上の再審については考え出すと面白い面もあるのですが、再審請求がなされるケース、その中で審尋手続まで進むケース、その中でさらに開始決定がなされるケースがどれも極端に少ないために、私が弁護士人生を終えるまでに開始決定を経験することはおそらくないのではないかという予感がしています。ただ、法律相談では問われることが少なくないトピックですので、一度押さえておくとよいかもしれません。次回からはまた、別のテーマを取り上げたいと思います。