(第15回)答弁書の作法(1)

民事弁護スキルアップ講座(中村真)| 2021.08.11
時代はいまや平成から令和に変わりました。価値観や社会規範の多様化とともに法律家の活躍の場も益々広がりを見せています。その一方で、法律家に求められる役割や業務の外縁が曖昧になってきている気がしてなりません。そんな時代だからこそ、改めて法律家の本来の立ち位置に目を向け、民事弁護活動のスキルアップを図りたい。本コラムは、バランス感覚を研ぎ澄ませながら、民事弁護業務のさまざまなトピックについて肩の力を抜いて書き連ねる新時代の企画です。

(毎月中旬更新予定)

東京オリンピック真っ盛りですが、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況はまたもや予断を許さない状況になってきました。最近は、民事訴訟手続でもWeb会議形式が活用されるようになり、代理人としては期日の出廷の負担が減って助かる反面、主張内容を正しく裁判所に伝え、相手方と適切な議論・争点整理を行う上で、これまでと異なった工夫や配慮が必要になっていると感じています。

1 はじめに

以前、「訴状の作法」と題して、7回にわたって訴状作成の方法や留意点について取り上げました。そこで、今回からは原告から被告に視点を変え、数回にわたって答弁書について取り上げたいと思います。

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中村真(なかむら・まこと)
1977年兵庫県生まれ。2000年神戸大学法学部法律学科卒業。2001年司法試験合格(第56期)。2003年10月弁護士登録。以後、交通損害賠償案件、倒産処理案件その他一般民事事件等を中心に取り扱う傍ら、2018年、中小企業診断士登録。現在、大学院生として研究にも勤しみつつ、その一方で法科大学院の実務家教員として教鞭をとる身である。

著者コメント 今回は「答弁書の作法」の第1回として、答弁書にまつわる民事訴訟法、民事訴訟規則上の規律について概観してみました。特に、答弁書の提出期限の点は、基本的なルールでありながら、それを怠った場合の不利益が極めて大きいものであるため、被告から委任を受けた代理人としては、緊張感を持って対応に当たる必要があります。
さて、「答弁書の作法」の第2回目となる次回は、「請求の趣旨に対する答弁」について取り上げたいと思います。