(第13回)再審(2):再審申立ての実際

民事弁護スキルアップ講座(中村真)| 2021.05.31
時代はいまや平成から令和に変わりました。価値観や社会規範の多様化とともに法律家の活躍の場も益々広がりを見せています。その一方で、法律家に求められる役割や業務の外縁が曖昧になってきている気がしてなりません。そんな時代だからこそ、改めて法律家の本来の立ち位置に目を向け、民事弁護活動のスキルアップを図りたい。本コラムは、バランス感覚を研ぎ澄ませながら、民事弁護業務のさまざまなトピックについて肩の力を抜いて書き連ねる新時代の企画です。

(毎月中旬更新予定)

終わりの見えない緊急事態宣言下で経済活動も萎縮し、つい気持ちも塞ぎがちになりますが、こんな時こそコロナ後に向けて研鑽を図るべきです。

1 再審が問題となる場面

前回は、民事訴訟の再審(民訴法338条1項)について、再審事由、再審申立ての期間制限について取り上げました。

さて、われわれ法律家の業務の上でこの再審手続が問題となる場面の一つに、「自分の知らない間に訴状が誰かに送達され、敗訴判決が言い渡されて確定していた」というケースがあります。

事実かどうかはさておき、法律相談でもたまに耳にするこのトピックについては、再審申立てを行おうとする側再審申立てを受けた側、それぞれで検討しておくべき問題があります。以下では、まず再審申立てを行おうとする側の問題について、検討してみたいと思います(なお、再審をテーマとする本稿では、いわゆる訴訟詐欺事案の場合の請求異議訴訟については取り上げません)。

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中村真(なかむら・まこと)
1977年兵庫県生まれ。2000年神戸大学法学部法律学科卒業。2001年司法試験合格(第56期)。2003年10月弁護士登録。以後、交通損害賠償案件、倒産処理案件その他一般民事事件等を中心に取り扱う傍ら、2018年、中小企業診断士登録。現在、大学院生として研究にも勤しみつつ、その一方で法科大学院の実務家教員として教鞭をとる身である。

著者コメント 民事の再審の訴えの件数が非常に少ないこと(再審開始の決定がなされることはさらに少ないこと)は前回に若干触れたとおりです。このため実務的な見地からすると再審の問題の重要性は通常訴訟のそれに比べて一段も二段も下がることは否定できません。もっとも普段あまり意識することがない分、相談で問題になると戸惑うことも多いので、この機会に一度押さえておいてもらえたらいいなと思います。