(第12回)再審(1):再審申立ての実際

民事弁護スキルアップ講座(中村真)| 2021.05.01
時代はいまや平成から令和に変わりました。価値観や社会規範の多様化とともに法律家の活躍の場も益々広がりを見せています。その一方で、法律家に求められる役割や業務の外縁が曖昧になってきている気がしてなりません。そんな時代だからこそ、改めて法律家の本来の立ち位置に目を向け、民事弁護活動のスキルアップを図りたい。本コラムは、バランス感覚を研ぎ澄ませながら、民事弁護業務のさまざまなトピックについて肩の力を抜いて書き連ねる新時代の企画です。

(毎月中旬更新予定)

いつの間にやら令和3年度が開始しています。

さて、今回、久しぶりに連載再開となりましたが、今回からは、少し趣向を変え、民事の再審を取り上げたいと思います。

1 再審について知っておきたいこと

法律相談等でたまに「既に裁判は終わっているんだけど」として、既に確定した事案についての相談を受けることがあります。

これが、給付請求が認容された側であれば、相手方(原告側)からの強制執行の可能性を検討したり、話し合いによる任意解決を模索したりという検討が必要になります。既に債務名義が取られ強制執行が可能な状態になっていますから、その交渉の難易度は高いといえます。

他方、相談者が訴えを排斥された側であれば、これも既に訴訟手続が終了して確定してしまっているわけですから、納得して前に進むという選択肢がまず浮かんできます。

もっとも、いずれの場合にも、非常にか細い線ではあれ、「もう一度裁判する」という道がないわけではありません。それが再審です。

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中村真(なかむら・まこと)
1977年兵庫県生まれ。2000年神戸大学法学部法律学科卒業。2001年司法試験合格(第56期)。2003年10月弁護士登録。以後、交通損害賠償案件、倒産処理案件その他一般民事事件等を中心に取り扱う傍ら、2018年、中小企業診断士登録。現在、大学院生として研究にも勤しみつつ、その一方で法科大学院の実務家教員として教鞭をとる身である。

著者コメント 新型コロナウイルス感染症蔓延に伴い、実に三度目の緊急事態宣言が発出されました。昨年4月7日発出の第一回目の際は多くの庁において民事事件を中心として一律に多くの事件の期日指定を取り消して延期したということがありましたが、今回はそのようなことはなさそうですね。今回から数回に分けて、民事上の再審手続(民訴法338条1項)について取り上げます。