(第8回)訴状の作法(4):訴状に添付する証拠のありかた② 証拠の順番

民事弁護スキルアップ講座(中村真)| 2020.10.05
時代はいまや平成から令和に変わりました。価値観や社会規範の多様化とともに法律家の活躍の場も益々広がりを見せています。その一方で、法律家に求められる役割や業務の外縁が曖昧になってきている気がしてなりません。そんな時代だからこそ、改めて法律家の本来の立ち位置に目を向け、民事弁護活動のスキルアップを図りたい。本コラムは、バランス感覚を研ぎ澄ませながら、民事弁護業務のさまざまなトピックについて肩の力を抜いて書き連ねる新時代の企画です。

(毎月中旬更新予定)

「訴状の作法」というテーマも今回で4回目。

今回も、前回に続いて訴状に添付して提出する証拠について取り上げます。

今回を含めこれから数回にわたって、これまでよりも少し細かい(けれども、日々訴状を書く上ではより実践的な)話が続きます。

今回は「証拠の順番」について取り上げましょう。

1 証拠の順番を考える出発点

数ある証拠をどのような順番で出すかということは、訴状を起案する上できちんと考えてかなければならないことの一つです。

といっても、手持ちの資料を訴訟手続を通じてどういった戦略で出していくかというたいそうな話ではなく、すでに訴状と一緒に提出する準備が整っている手元の証拠に、どういった順番で証拠番号を振っていくかという極めてミクロな問題です。

「そんなものは好きに並べて好きに番号を振ったらいいじゃないか」という人もいるかもしれませんが、「作法」という見方をした場合、証拠の番号振り方にも多くの人が望ましいと考える一定のマナーがあるように思われます。

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中村真(なかむら・まこと)
1977年兵庫県生まれ。2000年神戸大学法学部法律学科卒業。2001年司法試験合格(第56期)。2003年10月弁護士登録。以後、交通損害賠償案件、倒産処理案件その他一般民事事件等を中心に取り扱う傍ら、2018年、中小企業診断士登録。現在、大学院生として研究にも勤しむ身である。

著者コメント 次回は、訴状に添付して提出する証拠のトピックとして、「枝番の振り方」を取り上げる予定です。