(第7回)訴状の作法(3):訴状に添付する証拠のありかた①

民事弁護スキルアップ講座(中村真)| 2020.09.03
時代はいまや平成から令和に変わりました。価値観や社会規範の多様化とともに法律家の活躍の場も益々広がりを見せています。その一方で、法律家に求められる役割や業務の外縁が曖昧になってきている気がしてなりません。そんな時代だからこそ、改めて法律家の本来の立ち位置に目を向け、民事弁護活動のスキルアップを図りたい。本コラムは、バランス感覚を研ぎ澄ませながら、民事弁護業務のさまざまなトピックについて肩の力を抜いて書き連ねる新時代の企画です。

(毎月中旬更新予定)

今回も「訴状の作法」というテーマを取り上げます。3回目となる今回は、訴状に添付して提出する証拠について取り上げたいと思います。

1 証拠提出に関するルール

このテーマの第一回で、訴状には「立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければならない(規則53Ⅰ)」と説明しました。

ここでいう「立証を要する事由」は、その事件で予想される争点を、また「重要な事実」とは請求を理由づける事実との関係では間接事実を意味すると解されており、その根拠は「被告の対応を促し、実質的争点を早期に明らかにするため」と理解されています(『コンメンタール民事訴訟法Ⅲ(第2版)』(2018年、日本評論社)54頁)。

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中村真(なかむら・まこと)
1977年兵庫県生まれ。2000年神戸大学法学部法律学科卒業。2001年司法試験合格(第56期)。2003年10月弁護士登録。以後、交通損害賠償案件、倒産処理案件その他一般民事事件等を中心に取り扱う傍ら、2018年、中小企業診断士登録。現在、大学院生として研究にも勤しむ身である。

著者コメント 次回も今回に引き続き、「訴状に添付する証拠のありかた②」として、訴状作成時の証拠提出に関するトピックを取り上げる予定です。