(第4回)欧州復興基金と財政統合に向けた課題(林 秀毅)

コロナ危機とEUの行方| 2020.08.07
2020年に入って突如世界を席巻し始めた新型コロナウイルス感染症は,2020年3月11日にはWHOによってパンデミック宣言され,依然として予断を許さない状況が続いています.このコラムでは,さまざまな立場のEU研究者が,「コロナ危機下のヨーロッパ」がどう動くのか,どこへ向かうのかについて読み解いていきます.(全12回の予定)

はじめに

7 月 21 日、欧州連合 (EU) の臨時首脳会議が閉幕し、新型コロナ対策のため総額 7,500 億ユーロ (約 92 兆円) の復興基金を設置することが合意された。欧州首脳が喜び合い、会場全体が歓喜に包まれる様子は、日本国内にも伝えられた。

それでは何故、これほどまでに皆、喜んでいたのか。新型コロナの感染拡大で大きく傷んだ欧州経済がこれで急速に回復する、と期待したためだろうか。そもそも会議は当初、2 日間の予定だったが結論に至らなかったため延長され、結局 5 日間にも及んだ。そこまで議論が紛糾した原因は何だったのか。

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林 秀毅 (はやし・ひでき)
国際大学特別招聘教授・日本経済研究センター特任研究員。
1981 年東京大学卒業、同年日本興業銀行入行。ルクセンブルグ興銀、一橋大学客員教授、慶応義塾大学特任教授等を経て現職。日立総合計画研究所リサーチフェロー (欧州担当)。
著書等に『欧州通貨統合と金融・資本市場の変貌』(日本評論社)、『EU の証券市場』(日本証券経済研究所)、『EU は危機を乗り越えられるか --- 統合と分裂の相克』(NTT 出版、以上共著)、『国際金融アーキテクチャー』(バリー・アイヘングリーン著、東洋経済新報社、共訳)、日本経済研究センター『欧州経済・金融リポート』(毎月 10 日頃配信)、ラジオ日経『新興国情報』。