(第4回)民事調停手続を利用してみませんか(3)

民事弁護スキルアップ講座(中村真)| 2020.05.14
時代はいまや平成から令和に変わりました。価値観や社会規範の多様化とともに法律家の活躍の場も益々広がりを見せています。その一方で、法律家に求められる役割や業務の外縁が曖昧になってきている気がしてなりません。そんな時代だからこそ、改めて法律家の本来の立ち位置に目を向け、民事弁護活動のスキルアップを図りたい。本コラムは、バランス感覚を研ぎ澄ませながら、民事弁護業務のさまざまなトピックについて肩の力を抜いて書き連ねる新時代の企画です。

(毎月中旬更新予定)

前々回前回と取り上げてきた民事調停手続ですが、このテーマの最終回となる今回は、より実践的な調停の使い方、特に代理人が口にすることの多い「調停の長さ」の問題とその解決法について取り上げます。

1 調停の「所要時間の長さ」について(当事者代理人の立場・視点から気をつけておきたいこと)

既にこのテーマの中で触れてきたように、民事調停手続には他の手続、特に訴訟手続とは異なった使い勝手の良さがあります。ですがその反面、調停手続は独特の「使いにくさ」も併せ持っています(「(第2回)民事調停手続を利用してみませんか(1)」参照)。

そして、その最たるものは、「調停には無駄に時間がかかる」というもので、この意識は、弁護士、司法書士等の代理人に、民事調停手続にある種の苦手意識を抱かせる原因となっているように見受けられます。

もっともこの問題は、代理人サイドの意識の持ち方や対応で改善できる部分も多いものです。

なお、以下に述べることは、私が民事調停官として多くの調停事件に関わって得た経験を元にしていますが、裁判所の公式見解とは異なる個人的な見解であることをあらかじめお断り致します。

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中村真(なかむら・まこと)
1977年兵庫県生まれ。2000年神戸大学法学部法律学科卒業。2001年司法試験合格(第56期)。2003年10月弁護士登録。以後、交通損害賠償案件、倒産処理案件その他一般民事事件等を中心に取り扱う傍ら、2018年、中小企業診断士登録。現在、民事調停官として執務する傍ら、大学院生として研究にも勤しむ身である。

著者コメント 全3回にわたって民事調停手続をテーマに進めてきた「民事調停手続を利用してみませんか」も今回で終了となります。次回からは、また視点を変えて民事訴訟手続のトピックを取り上げる予定です。