(第5回)時を味方につける(4)— 期間を区切って成果を上げる(笠松珠美)

新 行政用語の常識――用語から学ぶ行政手法| 2026.10.21
『新 法令用語の常識』『新 法令解釈・作成の常識』の著者・吉田利宏(元衆議院法制局参事)が、現職の衆議院法制局職員である笠松珠美と共に執筆する新連載。行政に関わる人たちに向けて、行政手法(行政目的を実現するための手法)を使いこなすために、キーワードとなる行政用語を通じて、行政手法をその前提となる法制度と併せて理解することを提案。行政用語に関する知識が政策立案や法令の理解に欠かせない新常識になることを期待して「新 行政用語の常識」と題した連載がスタートします。

1 はじめに

今回のテーマは、「期間を区切って成果を上げる」です。

夏休みの宿題や試験前のテスト勉強、原稿の執筆といったときに、期限があるから計画的に進められる、という経験はありませんか。あるいは期限のある仕事をまず片付け、余裕があれば期限がないものに取り組もう、と思っているうちに、期限がない仕事はどんどん後回しになっていく、という経験はありませんか。

法律や政策立案の世界でも、こうした経験知を生かして、期間を区切ることによって成果を上げようとするものが色々あります。

これまでの3回の連載では、制度の始まりに着目して、いつから制度を開始するのか、スムーズに新制度に移行するにはどうしたらよいか、といったことを見てきましたが、今回は制度の終わりや期限に着目してみましょう。

法令は、基本的には永続的なもので、これを止めるには法令を廃止するための立法を行う必要があります。しかし、終わりの時期をあらかじめ決めておくこともできます。終期を定めることは、制度を止めるだけではなく、制度の見直しや制度の試行などに活用することもできます。

終期とは別に、制度の見直しを行うべきタイミング等を決めておくことによって、効果的に制度の見直しを行うという方法もあります。あるいは、制度としては永続的であっても、許認可等の個々の行政庁の処分について期限を設けるという手法もあります。

このほか、政策を推進するために期間を区切る、というやり方もあります。一定の期間を区切ってその間に改革をやり遂げるものや、継続的に推進したい政策について政策パッケージを定期的に見直すものがあります。

それでは、早速、順に見ていきましょう。

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吉田利宏(よしだ・としひろ)
1963年生まれ。1987年衆議院法制局入局。以後15年にわたり議員立法や修正案の作成に参画。主な著書に、『新 法令用語の常識〔第2版〕』『新 法令解釈・作成の常識〔第2版〕』(日本評論社)、『法実務からみた行政法』『法令読解心得帖』(共著、日本評論社)、『政策立案者のための条例づくり入門』(共著、学陽書房)、『つかむ・つかえる行政法〔第2版〕』『法学のお作法』(法律文化社)、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術(第4版)』『同 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方』『同 民法を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)などがある。

笠松 珠美(かさまつ・たまみ)
衆議院法制局法制企画調整部総務課長。2000年に衆議院法制局に入局し、現在まで、憲法、国会、選挙、内閣、安全保障、地方自治、法務、環境、農林水産、厚生労働など、幅広い分野の議員立法・修正案の立案等を担当。『条文の読み方(第2版)』(有斐閣、2021年)の共同執筆者の一人。なお、本稿は筆者の私見であり、所属する組織の見解ではありません。

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