(第4回)時を味方につける③ — 新制度にスムーズに移行する(笠松珠美)
新 行政用語の常識――用語から学ぶ行政手法| 2026.09.24
『新 法令用語の常識』『新 法令解釈・作成の常識』の著者・吉田利宏(元衆議院法制局参事)が、現職の衆議院法制局職員である笠松珠美と共に執筆する新連載。行政に関わる人たちに向けて、行政手法(行政目的を実現するための手法)を使いこなすために、キーワードとなる行政用語を通じて、行政手法をその前提となる法制度と併せて理解することを提案。行政用語に関する知識が政策立案や法令の理解に欠かせない新常識になることを期待して「新 行政用語の常識」と題した連載がスタートします。1 はじめに
これまで、施行や適用、準備行為など、新制度をいつからスタートさせればよいかを見てきました。適用対象者への周知期間や準備に必要な期間を考慮して施行・適用時期を決めることは、新制度の導入による社会的混乱を少なく抑えるための工夫の一つでもあります。今回は、法令改正によって制度が大きく変わることによる社会の混乱を軽減し、旧制度から新制度への切り替わりをスムーズに行うために、施行期日や適用区分以外に工夫できることはないか考えてみましょう。
2 経過措置とは
何らかの立法目的を達成するために新たな制度を設ける場合、立法目的の達成のためには、一刻も早く、全国一律で新制度を開始するのがよいでしょう。しかし、一方で、大幅な制度変更によって社会が混乱することも考えられます。既存の制度を前提に事業を行っていた人には、制度変更に対応する時間的余裕が必要な場合もあるでしょうし、事業に大きな影響があるなら制度変更自体に大きな反対が起こるかもしれません。
吉田利宏(よしだ・としひろ)
1963年生まれ。1987年衆議院法制局入局。以後15年にわたり議員立法や修正案の作成に参画。主な著書に、『新 法令用語の常識〔第2版〕』『新 法令解釈・作成の常識〔第2版〕』(日本評論社)、『法実務からみた行政法』『法令読解心得帖』(共著、日本評論社)、『政策立案者のための条例づくり入門』(共著、学陽書房)、『つかむ・つかえる行政法〔第2版〕』『法学のお作法』(法律文化社)、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術(第4版)』『同 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方』『同 民法を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)などがある。
笠松 珠美(かさまつ・たまみ)
衆議院法制局法制企画調整部総務課長。2000年に衆議院法制局に入局し、現在まで、憲法、国会、選挙、内閣、安全保障、地方自治、法務、環境、農林水産、厚生労働など、幅広い分野の議員立法・修正案の立案等を担当。『条文の読み方(第2版)』(有斐閣、2021年)の共同執筆者の一人。なお、本稿は筆者の私見であり、所属する組織の見解ではありません。
1963年生まれ。1987年衆議院法制局入局。以後15年にわたり議員立法や修正案の作成に参画。主な著書に、『新 法令用語の常識〔第2版〕』『新 法令解釈・作成の常識〔第2版〕』(日本評論社)、『法実務からみた行政法』『法令読解心得帖』(共著、日本評論社)、『政策立案者のための条例づくり入門』(共著、学陽書房)、『つかむ・つかえる行政法〔第2版〕』『法学のお作法』(法律文化社)、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術(第4版)』『同 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方』『同 民法を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)などがある。
笠松 珠美(かさまつ・たまみ)

衆議院法制局法制企画調整部総務課長。2000年に衆議院法制局に入局し、現在まで、憲法、国会、選挙、内閣、安全保障、地方自治、法務、環境、農林水産、厚生労働など、幅広い分野の議員立法・修正案の立案等を担当。『条文の読み方(第2版)』(有斐閣、2021年)の共同執筆者の一人。なお、本稿は筆者の私見であり、所属する組織の見解ではありません。














