司法のDX化—民事訴訟のデジタル化、民事裁判情報のデータベース化とAIの活用(山本和彦)

法律時評(法律時報)| 2026.06.26
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」98巻7号(2026年7月号)に掲載されているものです。◆

1 民事裁判手続のIT化・デジタル化

近年民事訴訟のIT化・デジタル化が急速に進展している。従来の民事訴訟においても、情報通信技術の利用は一定程度可能であった。例えば、電話会議システムによる争点整理、テレビ会議システムによる証人尋問、ファックスによる準備書面の交換等である。ただ、インターネット時代の技術には十分対応しておらず、諸外国のIT化に比べてその遅れが顕著になったこともあり、2017年頃から司法の積極的IT化を進めることが政府の方針とされた。そこで、まず現行法でも可能な方策として、2020年以降、争点整理手続におけるウェブ会議の利用が始められ、折からのコロナ禍もあって急速に普及した。その後、さらに準備書面の提出や交換を裁判所の事件管理システム(mints)により行うことも可能となった。

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ただ、現行法ではできることに限界があるため、IT化に向けた民事訴訟法の全面改正が企図された。その結果、2022年に民事訴訟法改正(令和4年改正)が実現した。改正法は、①オンラインにより訴状その他の訴訟文書の提出を可能とすること(e─提出)、②ウェブ会議により口頭弁論を初めとした様々な期日の開催を可能とすること(e─法廷)、③訴訟事件記録をデジタル化し、裁判所外からの閲覧やダウンロードを可能とすること(e─事件管理)という「3つのe」を実現し、民事訴訟の全面的なIT化・デジタル化を図ったものである。これにより、諸外国に比べて大きく遅れているとされてきた日本の民事訴訟のIT化は画期的に進展し、世界水準に近付いたものと評価できる。このような令和4年改正は、部分的に施行されてきたが、ついに2026年5月全面施行に至っている。これは、弁護士代理人等にオンラインでの書類提出を義務付けることなどを含み、民事訴訟のみならず、法律家の働き方にも大きな変容をもたらしている。

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