(第20回)生殖補助医療と子の先天異常:自然妊娠より高い障害をもつ確率
ヒトの性の生物学(麻生一枝)| 2025.04.15

このシリーズでは,私たちの人生に密接に関係する「ヒトの性に関する生物学的知見」を紹介していきます.
(毎月中旬更新予定)
体外で受精させた卵子を子宮に移植する「体外受精・胚移植」や、卵子に精子を直接注入することで受精させ、それを子宮に移植する「顕微授精・胚移植」は、今や標準的な生殖補助医療になりつつあるようだ。しかし、これらは本当に安全なのだろうか。生まれてくる子に、何の悪影響もないのだろうか。
どの医療機関でも、生殖補助医療の実施に先立って、患者は、卵採取のためのホルモン投与や採卵処置が母体に与える悪影響、高齢での妊娠・出産が母体に与える悪影響、そして、これら生殖補助医療が妊娠や出産を保証するものでないこと、などを告げられることだろう。しかし、生まれくる子が障害をもつ可能性については、どうなのだろう。おそらく、あまり告げられないのではないだろうか。
