【鼎談】エビデンスで未来を創る—ビジネスの力で何ができるか?(経済セミナー2024年8+9月号)

特集から(経済セミナー)| 2024.07.30
経済セミナー』の特集に収録されている対談・鼎談の一部をご紹介します.

(奇数月下旬更新予定)

客観的なデータとエビデンスに基づく政策形成 (Evidence-Based Policy Making: EBPM) の導入と推進が叫ばれてきたものの、その定着に向けてはまだまだ多くの課題が残されている。EBPM を社会に浸透させるためには何が必要なのか? 今回は、Data for Social Transformation (DST) を設立し、ビジネスの世界から EBPM を推進するオイシックス・ラ・大地株式会社の髙島氏をお迎えし、公共政策学の立場から EBPM を研究する杉谷氏、経済学研究のみならず政策実務も担う中室氏とともに徹底討論する。

1 なぜ EBPM が必要なのか?

—はじめに、日本におけるエビデンス活用に対する問題意識と、EBPM に関するこれまでの取り組みを、髙島社長よりご紹介いただきます。

髙島 髙島です。オイシックス株式会社という会社を 2000 年に設立し、これまで主に食品のインターネット販売事業に取り組んできました (2018 年にオイシックス・ラ・大地株式会社に社名変更)。以前はデータがあまり存在しなかった野菜業界や農業界でも、インターネットを使えばいろいろなものが可視化され、データとして集められるようになります。「企業経営は、まず可視化しなければ進められない」という感覚でやってきたので、私としては、かねてより十分に可視化がなされないまま進められていく日本の政治・行政に対して懸念を抱いていました。

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