(第6回)わたしのきもち――面会交流(後編)

ただいま調査中! 家庭裁判所事件案内(高島聡子)| 2024.03.04
2024年度前期朝ドラ『虎に翼』のモデルとなった三淵嘉子が、その設立に関わることになる家庭裁判所。戦後まもなく産声を上げた、社会的弱者のための裁判所では、令和の今、どんなことが起きているのでしょうか? そして「家庭裁判所調査官」とは、どんなお仕事?
普段は手続非公開のベールに隠れている“中の人”が、リアルな現場の点景をお伝えします。
(事件はすべて、家裁に係属する事件の特徴を踏まえて創作した架空のものです)

(毎月上旬更新予定)

◆この話の前編(「(第5回)ルビンの壺――面会交流(前編)」)はこちら

その日に向けて

試行的面会交流は、拍子抜けするほどあっさりと、穏やかに始まった。

父母に対しては、事前に個別面接をして、試行的面会交流での段取りやルールを説明した。

父母が同席する場合には、互いに穏やかな態度で振る舞う。子に対して、どちらと暮らしたい、面会交流をしたいかどうかなどの質問をしない。子の前で、他方当事者に関する否定的な言動をしない、など……。

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高島聡子(たかしま・さとこ)
神戸家庭裁判所姫路支部総括主任家庭裁判所調査官。
1969年生まれ。大阪大学法学部法学科卒業。名古屋家裁、福岡家裁小倉支部、大阪家裁、東京家裁、神戸家裁伊丹支部、京都家裁、広島家裁などの勤務を経て2023年から現職。現在は少年、家事事件双方を兼務で担当。
訳書に『だいじょうぶ! 親の離婚』(共訳、日本評論社、2015年)がある。