(第9回)土地住宅市場の摩擦:大名屋敷

歩いて学ぶ都市経済学(中島賢太郎・手島健介・山﨑潤一)| 2023.06.22
都心に高層オフィスビルが林立しているのはなぜ? 原宿にアパレルショップが集中しているのはなぜ? この連載では、日本各地の都市で見られる何気ない風景の「なぜ」を取り上げ、その背後にあると考えられる経済学的メカニズムを解説するとともに、そのメカニズムをデータを使って検証した最先端の実証研究を紹介していきます。

(毎月下旬更新予定)

はじめに

東京には昔、広い敷地を持つ大名屋敷が多く存在した。明治維新の際にその多くが接収され民間に払い下げられたり、戦後の重い財産税により、多くの屋敷地が旧大名家から民間へと流れた。東京大学の赤門や浜離宮の庭園といったところでは当時の姿に思いを馳せることができる (図1)。一方で構造物そのものは消えてしまっても、丸の内や霞が関などでは、猥雑とも言える東京のビル群の中にありながらも大名屋敷の歴史を感じる広々とした土地を残し、その土地を活用した高層のビルが建築されることもある。都市にはこうした過去の歴史的地層を感じさせる土地利用がしばしば見受けられる。

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中島賢太郎 (なかじま・けんたろう)
一橋大学イノベーション研究センター准教授。東京大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士 (経済学)。東北大学大学院経済学研究科准教授などを経て、2017年より現職。都市経済学・空間経済学を専門とする。スマートフォンGPSデータや歴史的データなど、幅広いデータを用いた実証研究を行っている。
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手島健介 (てしま・けんすけ)
一橋大学経済研究所教授。コロンビア大学経済学部博士課程修了 (Ph.D.)。メキシコ自治工科大学経済研究所助教授などを経て、2022年より現職。主にメキシコと日本のミクロデータをもとに、グローバリゼーションおよび都市にまつわる諸問題を研究している。
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山﨑潤一 (やまさき・じゅんいち)
神戸大学大学院経済学研究科講師。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSE) 博士課程修了 (Ph.D.)。神戸大学大学院経済学研究科助教などを経て、2021 年より現職。開発経済学、応用ミクロ計量経済学を専門とする。明治期の鉄道や江戸期の農業投資など、日本の歴史的データを用いた実証研究を多く行っている。
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※本連載は、共同執筆です。著者順は慣例に従いアルファベット順としています。