(第9回)JICAヨルダン青少年精神保健プロジェクト(2)

紛争・災害と子どものこころのケア――世界の精神保健の現場から(田中英三郎)| 2023.06.02
2022年ロシアによるウクライナ侵攻は日本に住む私たちにも大きな衝撃を与えました。また、新型コロナウイルスのパンデミックや自然災害など、私たちの日常を一変させる出来事がいつやってくるかは予想もつきません。こういった出来事はすべての人々のこころに暗い影を落としますが、特に子どものこころへの影響は計り知れません。この連載では、世界と日本の現場から、子どもたちのこころの健康を保つためにどんなことがされているのか、レポートしていきます。

(毎月上旬更新予定)

今月は先月に引き続き「難民を含む子どもに対するコミュニティレベルの精神保健・心理社会的支援の強化プロジェクト(以下、本プロジェクト)」についてご紹介します。

2021年8月末に、私は満を持してヨルダンの地に立ちました。出国前には、新聞やテレビなどのメディアの取材を受ける機会があり1)2)、否が応でもモチベーションは高まっています。「わざわざ日本からやってきたからには、ヨルダンの子どもたち、紛争で傷ついた難民の子どもたちのために、何か意味のあることを成し遂げなければ」という思いでいっぱいでした。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

脚注   [ + ]


田中英三郎(たなか・えいざぶろう)
2001年愛媛大学医学部を卒業、精神科医師。ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)等で社会疫学を研究、公衆衛生学修士、博士(医学)。国立国際医療研究センター、国境なき医師団、都立梅ヶ丘病院、兵庫県こころのケアセンター等を経て、2021年よりJICAヨルダン事務所・ヨルダン保健省精神保健政策アドバイザーを務めている。