対談:起業を誘う環境を創る(経済セミナー2023年2+3月号)

特集から(経済セミナー)| 2023.01.27
経済セミナー』の特集に収録されている対談・鼎談の一部をご紹介します.

(奇数月下旬更新予定)

政府は 2022 年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、成長のエンジンとしてスタートアップに期待を寄せる一方、日本は諸外国と比べて大きく出遅れていることも指摘される。今回は、スタートアップの世界を牽引してきた朝倉氏と、産業組織論の立場からスタートアップ研究に取り組んできた加藤氏に、日本が直面する課題や環境的な問題点を掘り下げるとともに、起業の促進や経済活性化のためにいま何をすべきか、将来に向けた展望はどう描けるかについてディスカッションいただいた。

1 はじめに

—本日は、日本のスタートアップとそれを取り巻く環境の現状・課題・展望について、実務とアカデミア双方の視点からじっくり議論いただきます。まずはお二人の自己紹介からお願いします。

朝倉 朝倉と申します。現在はシニフィアンという会社で、主に上場に近いタイミング (レイトステージ) のスタートアップにリスクマネーや経営支援を提供する事業に取り組んでいます。私自身も学生時代に仲間たちと起業して、大学卒業後に経営コンサルティング会社勤務を経て自分たちが起業した会社に戻り、その会社を売却した経緯からミクシィに入社しました。その後ミクシィの代表に就任し、新規事業の立ち上げや事業構造の転換に取り組みました。株価も上昇して一段落ついたところで、2 年ほどスタンフォード大学で客員研究員を務めました。スタンフォード大学では、「勢いのあるスタートアップを、再現性のある形でより多く輩出するにはどうすればよいか?」という研究をしていました。そして 2017 年に帰国し、シニフィアンを創業しました。また、2022 年 3 月に設立されたスタートアップエコシステム協会では理事を務めています。この団体では、スタートアップを取り巻くエコシステム (生態系) をどのようにして発展させていくかを考え、実際にさまざまな活動に取り組んでいます。

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