(第37回)唯一の物的証拠(拳銃の試射弾丸)を警察がねつ造した疑い─白鳥事件

捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2021.08.13
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。

(毎月中旬更新予定)

今回紹介するのは、「開かずの扉」とされていた再審について最高裁が画期的な判断を示して、冤罪救済に途を開いたとされる白鳥事件である。この事件では、警察が重要な証拠をねつ造していた強い疑いがあるとされた(なお、これまでは、最終的に無罪が確定した事件を扱ってきたが、今回の白鳥事件については、再審請求が棄却されたままである)。

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木谷 明(きたに・あきら 弁護士)
1937年生まれ。1963年に判事補任官。最高裁判所調査官、浦和地裁部総括判事などを経て、2000年5月に東京高裁部総括判事を最後に退官。2012年より弁護士。
著書に、『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』(新版、法律文化社、2004年)、『事実認定の適正化―続・刑事裁判の心』(法律文化社、2005年)、『刑事裁判のいのち』(法律文化社、2013年)、『「無罪」を見抜く―裁判官・木谷明の生き方』(岩波書店、2013年)など。
週刊モーニングで連載中の「イチケイのカラス」(画/浅見理都 取材協力・法律監修 櫻井光政(桜丘法律事務所)、片田真志(古川・片田総合法律事務所))の裁判長は木谷氏をモデルとしている。