(第9回)「まぁ、よしとしましょう」で怒りとつきあう

子育てのノロイを解きほぐす―発達障害の子どもに学ぶ(赤木和重)| 2020.05.09
「〇〇ができないとダメ!」「みんなと一緒でないといけません!」「子育て、かくあるべし!」……そんな子育ての“ノロイ”に、気づけばとらわれていませんか? 発達障害の子どもとかかわる心理学者の優しいまなざしが、私たちにかけられたノロイをやわらかくしていきます。

(毎月上旬更新予定)

「火事場のポジティブテンション」は続かない

5月4日現在、新型コロナ肺炎の感染拡大は、おさまっていません。本記事がアップされるゴールデンウィーク明けの時点でも、「完全収束」にはほど遠いでしょう。私の地元の兵庫県立学校・神戸市立学校では、5月末までの休校延長がすでに決まっています。

感染爆発が起きていないかわりに、収束の見通しも立ちません。事態が良くも悪くもならないまま、耐え忍ぶ日々が続きそうです。晴れたさわやかな日でも、外出もままなりません。「すでに我慢してきたが、これからも1ヵ月ほどは我慢が続く」という、厳しい感じになりつつあります。長期戦になるのは確実です。「今だからこそ、できることをやりましょう!」のような火事場のポジティブテンションはもう持続できなくなっています。私だけではないでしょう。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

赤木和重(あかぎ・かずしげ)
神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授。専門は発達心理学、インクルーシブ教育。同時に、保育・学校現場に入り、子どもや教師の姿に感動し、それを理論化する仕事をしている。著書に『アメリカの教室に入ってみた:貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで』(ひとなる書房)、『目からウロコ!驚愕と共感の自閉症スペクトラム入門』(全国障害者問題研究会出版部)など。現在、わが子とのポケモンカードバトルに夢中。ちなみに写真は、ゼミ卒業生からポケモンカード(150枚!)をもらいご満悦の著者。