(第15回)現場に遺留された多くの物証には目もくれず、ひたすら、目星をつけた被疑者を厳しく追及して虚偽自白させ起訴─氷見事件

捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2019.11.11
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。

(毎月中旬更新予定)

氷見事件

  • 富山地判平成14年11月27日
  • 富山地判平成27年3月9日判時2261号47頁

連続して発生した屋内強姦事件について、似顔絵などに基づく聞き込み捜査でA氏への嫌疑を深めた警察は、A氏を厳しく追及して虚偽自白させ、起訴した。現場に遺留された多くの物証を検討すれば、アリバイのあるA氏の嫌疑は早期に晴れたはずであったが、警察はそれらをまともに検討しなかった。有罪判決確定後、別件で逮捕された真犯人が本件を自白したため、A氏は再審によって釈放された。

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