拘禁刑導入で施設内処遇は変わりつつあるか(武内謙治)/誰がために刑事施設は変わるのか — 拘禁刑時代の組織風土改革を考える(山梨光貴)(特集:刑事施設はいま)
特集から(法学セミナー)| 2026.09.11
◆この記事は「法学セミナー」852号(2026年10・11月号)に掲載されているものです。◆
特集:刑事施設はいま
刑事施設は、社会から切り離された遠い世界に存在するわけではない。そこに入る人がいて、出る人がいる。その処遇のいまを知ることは、社会のあり方を問うことでもある。拘禁刑の導入から1年、刑事収容施設法施行から20年。施設内処遇は変わりつつあるのか。現在の課題とは何かを知り、そのあり方を考えよう。
—編集部
拘禁刑導入で施設内処遇は変わりつつあるか(武内謙治)
1 特集の課題とその困難さ
本年6月、拘禁刑は、施行1年を迎えた。また、本年5月は、監獄法を全面的に改めた刑事収容施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成17年法律第50号)1)が施行されてから20年の里程標にあたる。
懲役刑および禁錮刑の廃止と拘禁刑の創設は、1907年の現行刑法制定以来初めて、自由刑の種類を改めるものであった。これが歴史の転換点になることは、間違いない。その拘禁刑の導入で施設内処遇は変わりつつあるのか。これが、本特集の問いである。
2 問題の多様性と歴史性

しかし、その解答を得ることは、容易ではない。理由は、2つある。
第1に、刑事施設と施設内処遇に変化を迫っているのは、拘禁刑の導入だけではない。
拘禁刑の施行を間近に控えた2023年6月に、名古屋刑務所職員による暴行・不適正処遇事案に係る第三者委員会の提言書が公表された。その副題が「拘禁刑時代における新たな処遇の実現に向けて」となっているように、この間、刑事施設は、拘禁刑への対応だけでなく、暴行・不適正処遇事案の再発防止をも課題としてきた。報告書とそれを受けて策定された法務省矯正局による再発防止策アクションプランも、両者への対応を視野に入れている2)。
脚注
| 1. | ↑ | 現行法である刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑処法)は、この法律に未決拘禁者と死刑確定者に関する規定を統合するなどして、翌年名称を改めて成立した。 |
| 2. | ↑ | 武内謙治「不適正処遇の防止と拘禁刑下の処遇の前提」法セ833号(2024年)44頁以下を参照のこと。 |














