交通基盤の現在地2026—JRの寿命と運賃の値上げ(髙田実宗)
法律時評(法律時報)| 2026.03.27
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。
(毎月下旬更新予定)
◆この記事は「法律時報」98巻4号(2026年4月号)に掲載されているものです。◆
1 はじめ4
本誌2022年9月号の特集「インフラと法—『生』の基盤を考える」において、筆者は「交通基盤の保障」と題する小論で誌面を汚した1)。その執筆当時は、まさにコロナ禍の最中であり、そうした未曽有の事態が招いた移動の制限、それに伴うリモートワークの普及が、交通基盤を蝕むとともに、それまで水面下に隠れていた窮状を顕在化させた。それから数年の歳月が経つところ、この間、交通基盤について、いくつか世間の耳目を集める出来事が生じている。そこで、本時評では、交通基盤の2026年における現在地を綴ってみることとしたい。
芥川龍之介 三十五
太宰治 三十八
日本国有鉄道 三十八
2 JRの寿命

1987年に生まれたJR各社は、めでたく39年目を迎えた。JRは、旧国鉄の分割・民営化により誕生したわけであるが、この1949年生まれの旧国鉄は38年目で寿命を迎えた2)。つまり、JRは旧国鉄より長寿ということになる。これくらいの年齢の時が、一ばん大事で、その寿命が気になる。
とりわけ厳しいのがJR北海道である。2020年に札沼線の一部47.6キロ、2021年に日高線の一部116キロ、2023年に留萌線の一部35.7キロ、2024年に根室線の一部81.7キロが廃線されている。留萌線の残り14.4キロも2026年に廃止される。さらに、ここのところ安全に関する不適切な事象および事故が続いたため、2025年5月には、国土交通省北海道運輸局と国土交通省鉄道局とが、全国初となる「強化型保安監査体制」をJR北海道に適用し、2年間程度の継続的かつ集中的な保安監査を行っている3)。
脚注
| 1. | ↑ | 髙田実宗『交通行政の計画法理論』(信山社、2026年)249頁以下に所収。 |
| 2. | ↑ | 当時の座談会として、阿部泰隆=成田頼明=萩澤清彦=船田正之「国鉄分割・民営化の問題点」ジュリスト860号(1986年)8頁以下。 |
| 3. | ↑ | 日本経済新聞2025年5月28日朝刊34頁。 |













