【座談会】海外大学院へのさまざまな道 — ビジネススクールという選択肢(経済セミナー2024年12月+2025年1月号)
経済学をさらに学ぶ・研究するための進学先の選択肢の 1 つに「ビジネススクール」がある。そこではさまざまな分野の Ph.D. プログラムが設置されており、学生一人ひとりの興味関心にフィットした学びの環境が提供されている。経営学、マーケティング、ファイナンス、会計学など、経済学と深く関連する分野との行き来も可能だ。
今回は、ビジネス関連の分野で経済学的な手法を取り入れながら研究に取り組みつつ活躍する方々に、そんな多様な学びと研究の環境が切り拓く可能性を語っていただいた。
1 はじめに
— 本日は、経済学、経営学、マーケティングなどの多様な分野で海外大学院進学を経験する皆さまにお集まりいただき、進学のきっかけや道のり、学び方、研究の進め方など、幅広く伺っていきたいと思います。皆さまにはビジネススクールへの進学という共通点があるのも、今回の座談会のポイントです。まずは自己紹介から、よろしくお願いします。
北川 北川です。収録 (2024 年 8 月) 時点では早稲田大学大学院経済学研究科の博士課程に在籍しており、この秋からコロンビア大学の Ph.D.プログラム (博士課程) に進学します。主に「人事経済学」と呼ばれる分野の研究をしており、基本的には企業から提供された人事データを活用して、内部労働市場のメカニズムを実証的に分析することを中心に研究に取り組んでいます。
私が進学するプログラムは「Business Economics Track」という、経済学部と Columbia Business School のジョイント (合同) プログラムです。基本的には経済学部とまったく同じ学位授与要件ですが、専攻分野を選ぶときに、その 1 つがビジネス経済学であることや、指導教員のうち少なくとも 1 人がビジネススクール所属であることが必要となるなどの違いがあります。