出題(2021年1月号掲載分)/応募締切(1月8日)/解答(2021年4月号掲載)

エレガントな解答をもとむ(数学セミナー)| 2020.12.09
 『数学セミナー』のコーナー「エレガントな解答をもとむ」の出題を掲載します.奮ってご応募ください.解答・講評(3ヶ月後)は,本誌にてご確認ください.

(毎月10日頃の掲載予定)

$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$

出題1

有名なケーキカット問題であるが,ここでは公平にカットするのではなく,偏ったカットを扱う.ケーキは一様な直方体のものを考えていただけばいいだろう.太郎と花子による次のプロトコルを考える.

  1. 太郎がケーキを切って $A$ と $B$ に分ける.
  2. 再び太郎が $A$ を切って $A_1$ と $A_2$ に分ける.
  3. 花子は (i) $A_1$ を取る,または (ii) $A_2$ を取る,または (iii) 何も取らない.
  4. 花子が (i) または (ii) を選択したら太郎は取られなかった方と $B$ を取る (ゲーム終了).(iii) を選択したら太郎は $A_1$ または $A_2$ を取る.花子は残りを取って,$B$ を 2 つに切る $(B_1,B_2)$.
  5. 太郎が $B_1$ または $B_2$ を取り,花子が残りを取る (ゲーム終了).

(1) お互いにできるだけ多く取るために最善を尽くすと,太郎の取り分はどのくらいになるか.
(2) ステップ 1 と 2 両方を以下のように変更するとどうか.いずれも最適性に言及すること.

  1. 花子がケーキを切って $A$ と $B$ に分ける.
  2. 太郎はどちらかを取るか,いずれも取らない.取れば花子は残りを取ってゲーム終了.取らない場合,太郎が $A$ を切って $A_1$ と $A_2$ に分ける.

出題:岩間一雄

出題2

平面上の点列 $\t A_0,\t A_1,\t A_2,\cdots$ を $\{\t A_n\}$ と書くことにします.$M=(m_{ij})$ を 3 次正則行列(逆行列をもつ行列) であるとし,3 つの点列 $\{\t A_n\},\,\{\t B_n\},\,\{\t C_n\}$ が $M$ の成分を係数とするような線形の連立漸化式を満たすとは,
\begin{align*}
\left\{
\begin{array}{1}
\t A_{n+1}=m_{11}\t A_n+m_{12}\t B_n+m_{13}\t C_n \\[4pt]
\t B_{n+1}=m_{21}\t A_n+m_{22}\t B_n+m_{23}\t C_n \\[4pt]
\t C_{n+1}=m_{31}\t A_n+m_{32}\t B_n+m_{33}\t C_n
\end{array}
\right.
\end{align*}であることを意味するものとします (演算は座標成分ごとに行うものとします).また,たとえば点列 $\{\t A_n\}$ が $\t A_{n+1}=\t A_n$ で与えられたとするとき,これを自明な漸化式と呼ぶことにします.

問1 以下の条件を満たす,自明な漸化式を含まないような 3 次正則行列 $M$ の例をできるだけたくさん見つけてください.

(条件) $\t A_0,\,\t B_0,\,\t C_0$ が平面上の相異なる 3 点であるとしたとき,$M$ の成分を係数とする線形の連立漸化式から決まる点列 $\{\t A_n\},\,\{\t B_n\},\,\{\t C_n\}$ について,$\lim\limits_{n\to\infty}\t A_n,\,\lim\limits_{n\to\infty}\t B_n,\,\lim\limits_{n\to\infty}\t C_n$ は相異なる 3 点に収束し,その極限をそれぞれ $\t A_\infty,\,\t B_\infty,\,\t C_\infty$ と置いたときに $\t B_\infty$ は $\t A_\infty\t C_\infty$ の中点である.

問2 自明な漸化式を含まないような,正則行列を係数とする線形の連立漸化式であって,任意の相異なる 6 点から始めて下図を得るような漸化式を提案してください.ただし,$\t D,\,\t E,\,\t F$ はそれぞれ $\t{AE},\,\t{BF},\,\t{CD}$ の中点であるものとします.

出題:阿原一志

応募規定[解答掲載2021年4月号]

郵送の場合

B5判の用紙をご使用のうえ,解答用紙 l 枚ごとにA:出題の番号(例:1月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記宛先までお送りください.

〒170-8474 東京都豊島区南大塚3-12-4
日本評論社 数学セミナー〈エレガントな解答をもとむ〉係

メール送信の場合

B5判のサイズで,解答用紙l枚ごとにA:出題の番号(例:1月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記フォームから PDF ファイルを送信して下さい (ファイルサイズ10MBまで).

解答記載に LaTeX ご利用の方は,テンプレートもご活用下さい.テンプレート利用は任意です.またテンプレートの漢字コードはUTF8です.ファイルが文字化けするときは適宜変換してお使いください.

「エレガントな解答をもとむ」解答投稿フォーム

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編集部に届くメールと同内容のものを送信しますので,お送りいただくPDFファイルも添付されます.
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※解答PDFを添付して下さい

投稿フォームが上手く動かないなどの場合は,susemi_elegant@nippyo.co.jp に直接お送り下さい.

注意事項

  • 締切:2021年1月8日
  • 二題に応募されるときは,郵送の場合は解答用紙を,メール送信の場合はファイルを,出題ごとにかえてください.
  • 年齢を忘れずにお書きください.
  • 解答用紙は両面の使用を不可とします.
  • 解答用紙はご返却できません.
  • 問題のご感想も歓迎します.
  • 出題掲載号:数学セミナー2021年1月号
  • 解答・講評は,本誌2021年4月号にてご確認ください.

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