(第5回)深まりゆく因数分解
数学の泉(高瀬正仁)| 2019.02.01

(毎月上旬更新予定)
「直角三角形の基本定理」を発見したフェルマは,類似の形の命題をほかにもいくつか見つけました.「4 で割ると 1 が余る素数」は,x2+y2 という二つの平方数の和の形にただひととおりの仕方で表示されることを主張するのが直角三角形の基本定理でした.なお一歩を進めて「8 で割ると 1 が余る素数」を考えると,そのような数は「4 で割ると 1 が余る素数」でもありますから x2+y2 という形をもちますが,ほかにもなお x2+2y2 および x2−2y2 という 2 通りの形をもつことを,フェルマは見出だしています.たとえば,素数 17 は
17=12+42=32+2×22=52−2×22と表示されますし,もっと大きな事例では,素数 5953 は
5953=572+522=112+2×542=792−2×122と表されます.ここにおいて問題となるのはこれらの3通りの表示の相互関係です.