越境者たち、その思い出 — 精神科における治療関係とバウンダリー問題〈エッセイ〉(特別企画:バウンダリーを語ろう — 支援に活きる関係性の視点)(山登敬之)

特別企画から(こころの科学)| 2026.06.17
心理臨床、精神医療、教育、福祉等の領域で対人援助にかかわる人、「こころ」に関心のある一般の人を読者対象とする学術教養誌「こころの科学」。毎号の特別企画では、科学的知見の単なる解説ではなく、臨床実践に基づいた具体的な記述を旨としています。そうした特別企画の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆本記事は「こころの科学」248号(2026年 7 月号)の、山登敬之編「特別企画:バウンダリーを語ろう — 支援に活きる関係性の視点」に掲載されているエッセイです。◆

バウンダリーに「境界線」の訳をあてると、すぐに連想されるのは「境界性パーソナリティ障害(以下 BPD)」のことである。

この言葉のルーツにある「境界例」は、精神病と神経症の境界を意味していた。それがパーソナリティの問題に鞍替えされてからは、もっぱら対人関係における病理に目が向けられるようになった。「理想化」と「こきおろし」という例のアレである。

ところが、かつてわれわれ精神科医をさんざん悩ませた BPD の事例には、このところとんとお目にかからなくなった。社会の変化にともない対人関係のあり方も変わってきたせいであろう。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。
会員登録(無料)はお済みですか? → 会員について

この号の記事をすべて読むには
雑誌購入ページへ

こころの科学 の記事