実際に経済分析をやってみよう!—回帰分析で死刑の抑止効果を検証する:発展編(森大輔)

特集から(法学セミナー)| 2026.01.22
こちらは、法学セミナー2025年12・2026年1月号の特集「法と経済学の可能性」の中の、「実際に経済分析をやってみよう!---回帰分析で死刑の抑止効果を検証する」の続編として位置付けられるものです。統計ソフト「Rコマンダー」を使用して、実際に分析を行う方法を紹介しています。

本稿では、法学セミナー2025年12月・2026年1月号に掲載の森大輔(2025)「実際に経済分析をやってみよう!—回帰分析で死刑の抑止効果を検証する」(以下、森(2025)と略記)に引き続いて、Rコマンダーによる発展的な分析方法を解説する。

森(2025)では日本の死刑の抑止効果に関する分析として、松村・竹内(1990)の分析を紹介した。この分析では、死刑の抑止効果について、次のような回帰式を考えていた。

Murder = a + b1 Death + b2 Aid + b3 Arrest + b4 Educate + b5 Income + b6 M20 + b7 Nojob

目的変数のMurderは殺人事件発生率、説明変数のDeathは死刑率、Arrestは殺人事件の検挙率、Incomeは実収入で、Aidは生活保護率、Nojobは失業率、M20は20代男性人口率、Educateは高等教育在学者率を表す。

まず、Rコマンダーでデータファイルを開く(詳細は森(2025)の「2.2 データファイルを開く」参照)。データファイルは森(2025)と同様、http://park18.wakwak.com/~mdai/data/data_hose.zip からダウンロードしたものを用いる。

1 変数の対数変換

回帰分析の目的変数や説明変数の一方または両方について、変数の対数(通常はその中でも自然対数1))を取るということが行われることがある2)。これを変数の対数変換と呼ぶ。対数変換を行う理由は、対数変換をした方が、分析で使用した説明変数で、目的変数のばらつきをよりよく説明できる(言い換えると、調整済み決定係数 Adjusted R-squaredの値が大きくなる)可能性があることなどである。松村・竹内(1990)でも、目的変数と説明変数の両方を対数変換した上での分析も行われている。

ここでは説明変数のAidを例にとって、Rコマンダーでの対数変換の仕方を説明する。

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脚注   [ + ]

1. 自然対数とは、ネイピア数e(約2.718)を底とする対数である。
2. 今回のデータでは幸いにして起こらないが、データに0が含まれている場合には、0は対数変換できないので注意が必要である。こうした場合の対処方法はいくつかあるが、よく行われる方法の一つは、データ全てに1を足した上で対数変換するというものである。