序文(特別企画:パニックと不安——多面的な理解と臨床)(編:原田誠一)

特別企画から(こころの科学)| 2025.08.14
心理臨床、精神医療、教育、福祉等の領域で対人援助にかかわる人、「こころ」に関心のある一般の人を読者対象とする学術教養誌「こころの科学」。毎号の特別企画では、科学的知見の単なる解説ではなく、臨床実践に基づいた具体的な記述を旨としています。そうした特別企画の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆本記事は「こころの科学」243号(2025年9月号)の、原田誠一編「特別企画:パニックと不安——多面的な理解と臨床」に掲載されている序文です。◆

代表的な不安症の一つであるパニック症の病態理解と治療に関して、20世紀後半以降大きな進展がみられた。具体的には、① パニック症という診断名が、不安神経症からの病名変更の意味合いを含めて広く知られるようになり(診断の進歩)、② 薬物療法と精神療法における特筆すべき進捗がみられ(例:薬物療法の主体がベンゾジアゼピン系抗不安薬から選択的セロトニン再取り込み阻害薬〔SSRI〕に代わり、精神療法でも認知行動療法などにおいて進展がみられた)、③ 当事者、家族を苦しめていたスティグマも小さくなった。こうした経緯について、本誌は「パニック障害」特集を組んで紹介したことがある(107号、2003年)。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

この号の記事をすべて読むには
雑誌購入ページへ