序文(特別企画:病気未満のアディクション――適応と依存症のあいだ)(編:佐久間寛之)
特別企画から(こころの科学)| 2024.08.16
心理臨床、精神医療、教育、福祉等の領域で対人援助にかかわる人、「こころ」に関心のある一般の人を読者対象とする学術教養誌「こころの科学」。毎号の特別企画では、科学的知見の単なる解説ではなく、臨床実践に基づいた具体的な記述を旨としています。そうした特別企画の一部をご紹介します。
(毎月中旬更新予定)
◆本記事は「こころの科学」237号(2024年9月号)の、佐久間寛之編「特別企画:病気未満のアディクション――適応と依存症のあいだ」に掲載されている序文です。◆
依存とは、アディクションとはいったい何でしょうか。
ギャンブルに大金を費やし、家族や周囲の信用を失っても、ひょうひょうと日常を過ごしている人もいます。大酒を飲んで家族に暴力をふるいつつ、会社を定年まで勤め上げる人もいます。依存症臨床をやればやるほど、その人にとって何が健康なのか、自己破壊なのか生きるための適応的な方策なのか、悩みます。