出題(2022年12月号掲載分)/応募締切(12月8日)/解答(2023年3月号掲載)

エレガントな解答をもとむ(数学セミナー)| 2022.11.09
 『数学セミナー』のコーナー「エレガントな解答をもとむ」の出題を掲載します.奮ってご応募ください.解答・講評(3ヶ月後)は,本誌にてご確認ください.

(毎月10日頃の掲載予定)

$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$

出題1

正 3 角形の中に直角 2 等辺 3 角形を収めるとき,下図左のようにすると面積が占める割合は最大になり,その値は $\dfrac1{\sqrt{3}}$ です.反対に,直角 2 等辺 3 角形の中に正 3 角形を収めるとき,下図右のようにすると最大になり,その値も同じく $\dfrac1{\sqrt{3}}$ です.

これは偶然の一致でしょうか.そこで,次の問題を取り上げてみます.

互いに相似でない任意の 3 角形 $\t{ABC}$ と 3 角形 $\t{DEF}$ を考えます.そして,3 角形 $\t{ABC}$ の相似形のうち,3 角形 $\t{DEF}$ に収まる最大の 3 角形を $\t A’\t B’\t C’$ とし,3 角形 $\t{DEF}$ の相似形のうち,3 角形 $\t{ABC}$ に収まる最大の 3 角形を $\t D’\t E’\t F’$ とするとします.このとき,次の等式はつねに成り立つでしょうか.
\begin{align*}
\frac{\text{3 角形 $\t A’\t B’\t C’$の面積}}{\text{3 角形 $\t{DEF}$ の面積}}
=
\frac{\text{3 角形 $\t D’\t E’\t F’$ の面積}}{\text{3 角形 $\t{ABC}$ の面積}}
\end{align*}

もしつねに成り立つとしたら,そのことを証明してください.成り立たないとしたら,反例を見つけ,それが反例であることを証明してください.

等式が成立する必要条件や十分条件がわかったなど,本問の一部のみが解けた場合の答案提出も歓迎です.

出題:岩沢宏和

$\def\Z{\mathbf{0}}\def\I{\mathbf{1}}\def\co{c}$

出題2

集合 $\varOmega=\{\varepsilon,0,1,00,\cdots\}$ を,$0$ と $1$ からなる有限文字列の全体とします.$\varepsilon$ は長さ $0$ の文字列です.

有限文字列 $w$ と $w’$ を連結した文字列を $ww’$ と書きます.また部分集合 $A,\,B\subseteqq \varOmega$ について,連結 $A\cdot B$ を $A\cdot B=\{ww’\mid w\in A,\, w’\in B\}$ とします.

正規表現は,以下のように再帰的に定義されます.

  1. $\Z$ と $\I$ は正規表現である.
  2. $r$ と $s$ が正規表現のとき, $r+s$, $r\cdot s$,スター $r^{\ast}$ と $r^{\co}$ も正規表現である.

正規表現 $r$ には,($r$ にマッチする言語と呼ばれる) $\varOmega$ の部分集合 $L(r)$ が以下で再帰的に定義されます.

  1. $L(\Z)=\{0\}$ と,$L(\I)=\{1\}$.
  2. $L(r+s)=L(r)\cup L(s),\,L(r\cdot s)=L(r)\cdot L(s),\,L(r^{\ast})=\{\varepsilon\}\cup L(r)\cup (L(r)\cdot L(r))\cup\cdots$ と,$L(r^{\co})=\varOmega\setminus L(r)$ (ここで $r$ と $s$ は正規表現).

特に $L(r^{\ast})$ は $L(r)$ の任意有限回の繰り返し,$L(r^{\co})$ は $L(r)$ の補集合です.例えば $\varOmega=L((\Z+\I)^{\ast})$ です.

問題 1 正規表現 $(\I^{\co}\cdot \I)^{\ast}$ を,スターが登場しない正規表現で書き直してください.

問題 2 正規表現 $((\Z+\I)\cdot \Z^{\ast}\cdot \I)^{\ast}$ を,スターの入れ子が登場しない正規表現で書き直してください.

例えば $L(\Z^{\ast}+\Z^{\co})=L(\Z+\Z^{\co})\ (=\varOmega)$ なので,$\Z^{\ast}+\Z^{\co}$ はスターを 1 回も使わない $\Z+\Z^{\co}$ で書き直せています.また問題 2 のような書き直しの例としては,$L((\Z+(\I\cdot(\Z+\I))^{\ast})^{\ast})=L(((\I^{\co}\cdot \I)^{\co})^{\ast})$ があります.

出題:土岡俊介

応募規定[解答掲載2023年3月号]

郵送の場合

B5判の用紙をご使用のうえ,解答用紙 1 枚ごとにA:出題の番号(例:12月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記宛先までお送りください.

〒170-8474 東京都豊島区南大塚3-12-4
日本評論社 数学セミナー〈エレガントな解答をもとむ〉係

メール送信の場合

B5判のサイズで,解答用紙 1 枚ごとにA:出題の番号(例:12月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記フォームから PDF ファイルを送信して下さい (ファイルサイズ10MBまで).

解答記載に LaTeX ご利用の方は,テンプレートもご活用下さい.テンプレート利用は任意です.またテンプレートの漢字コードはUTF8です.ファイルが文字化けするときは適宜変換してお使いください.

「エレガントな解答をもとむ」解答投稿フォーム

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編集部に届くメールと同内容のものを送信しますので,お送りいただくPDFファイルも添付されます.
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※解答PDFを添付して下さい

投稿フォームが上手く動かないなどの場合は,susemi_elegant@nippyo.co.jp に直接お送り下さい.

注意事項

  • 締切:2022年12月8日
  • 二題に応募されるときは,郵送の場合は解答用紙を,メール送信の場合はファイルを,出題ごとにかえてください.
  • 年齢を忘れずにお書きください.
  • 解答用紙は両面の使用を不可とします.
  • 解答用紙はご返却できません.
  • 問題のご感想も歓迎します.
  • 出題掲載号:数学セミナー2022年12月号
  • 解答・講評は,本誌2023年3月号にてご確認ください.

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