『こころの四季』(著:滝川一廣)

一冊散策| 2018.09.25
新刊を中心に,小社刊行の本を毎月いくつか紹介します.

 

 

あとがき

この3月に大学を定年退職。その記念に本を出すようにと、これは親しい同僚の伊藤研一教授からのお勧めだった。年季を終えたことが記念に値いするかはともかく、顧みれば実に多くの方々のご理解やご助力あってこそ無事ここまで来られたわけで、その御礼代わりの小さな本をと思った。

論文集という案もあったけれど、以前『教育と医学』(慶應義塾大学出版会)誌に小文を連載したことを思い出し、伊藤教授と相談し、それを1冊にまとめることにした。こんな機会でもなければ上梓することもなかったろう素人のエッセイである。

本文でも触れたとおり「教育と医学の会」の会長でいらした村田豊久先生のお誘いで執筆することになり、同誌編集者の西岡利延子さんからの励ましに後押しされて連載をまっとうできたものである。バックナンバーを調べたら、2008年10月から2011年7月までほぼ隔月で執筆しており、もう10年近く経っているのに驚く。歳月は早い。

自註を加える必要もない本だが、折しも類のない激雨、時期はずれ・コースはずれの台風、記録破りの全国的な猛暑……今年はなかなか大変な年となった。これから秋を迎え冬に入るとどうなろうか。本書のなかでもの雨や嵐、夏の暑さを語ったけれども、その季節変化がギアアップした気がしている。四季の移ろいになにか大がかりな基礎変動が生じているのだろうか。偶然なんらかの気象条件が重なった今年だけの話なのだろうか。

定年を機会に生活の場を沖縄に移した。夏の暑さは覚悟(期待?)していたのに、本土各地で39度、40度の熱夏が報じられるさなか、南の島は高くて32~3度という涼しさに各地の友人知人に羨ましがられようとは思ってもみなかった。

雑誌連載のかたちから一書のかたちに移すにあたって、加筆や手直しをはかった。あらためてこれまで私を支えてくださった多くの方々、そして本書刊行にこころを尽くしてくださった日本評論社の遠藤俊夫さんに深く感謝を述べたい。

2018年 夏
滝川一廣

目次

1.地球の温暖化と子どもたちの明日
2.運動会の移ろい
3.小さなジョディ
4.N君のこと
5.遊んべえ
6.村田先生との夕べ
7.蝉の声
8.野分立ちて
9.クリスマスキャロル
10.冬期オリンピックに
11.たけくらべ
12.はやぶさ
13.ジャネの法則
15.大晦日
16.タイガーマスクとあしながおじさん
17.ちいさいおうち

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