序文(特別企画:「支援なんていらない!」——本人・家族の思い、支援者の葛藤)(編:太田順一郎)
特別企画から(こころの科学)| 2025.06.17

(毎月中旬更新予定)
◆本記事は「こころの科学」242号(2025年7月号)の、太田順一郎編「特別企画:「支援なんていらない!」——本人・家族の思い、支援者の葛藤」に掲載されている序文です。◆
周囲が「この人は精神科を受診することが必要なのでは?」と考え、本人にそれを勧めるにもかかわらず、本人がそれを拒否する、といった事態は、精神科医療の領域ではしばしば経験される。医療だけでなく、精神保健の領域でもそのようなことはやはり起きているだろうし、精神障害者福祉の領域においても、「生活保護を受給したらいいんじゃない?」「ヘルパーを頼んだほうがいいんじゃない?」といった周囲の声を本人が頑なに拒否する、という事態は決して珍しいものではない。もちろん彼らにはそれらを拒否するだけの理由があるのだし、しかもその理由は一つだけではないかもしれない。治療や支援を受け入れる気持ちと、拒否する気持ちの葛藤状況にある人もいるかもしれない。