生殖関係なき異性婚と 同性婚の区別の合憲性:大阪地裁令和4年6月20日判決(木村草太)

判例時評(法律時報)| 2022.09.05
一つの判決が、時に大きな社会的関心を呼び、議論の転機をもたらすことがあります。この「判例時評」はそうした注目すべき重要判決を取り上げ、専門家が解説をする「法律時評」の姉妹企画です。
月刊「法律時報」より掲載。

(不定期更新)

◆この記事は「法律時報」94巻10号(2022年9月号)に掲載されているものです。◆

 大阪地裁令和4年6月20日判決

1 はじめに

理由なき差別と言い訳奴隷制が当たり前の社会では、〈人を奴隷にして良い理由〉について考える人はそうそういない。女性に参政権がないのが当然だった時代、それを不当な差別と考える人はもちろん、そこに理由が必要だと考える人すらごく少数だっただろう。これを「理由なき差別」と呼ぼう。

これに対し、差別反対の声が上がり始めた社会では、差別を続ける人たちが、〈○○人は劣等だから〉、〈女性は頭が悪いから〉といった無理な言い訳を始める。それは憎悪感情や誤った事実認識に基づくもので、被差別者を攻撃する内容だ。一見すると、攻撃的な言い訳を伴う差別の方が理由なき差別よりも酷く見える。しかし、筋の通らない言い訳であろうと、その誤りや問題を指摘し、改善のきっかけを作れる点でまだましだ。理由なき差別では、改善のきっかけすら得られない。

このことを踏まえ、先日の大阪地裁判決を分析してみたい。

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