(第4回)グラフに騙されないために:横軸と縦軸が何を表しているかを確認しよう

コロナと数字と科学:ニュースに右往左往しないためのリテラシ(麻生一枝)| 2022.07.15
新型コロナ感染症に関する報道をはじめ,私達は,日々膨大な「データ」や「グラフ」や「科学用語」に接しています.しかし,ともすると,深く考えないまま鵜呑みにしてしまう危険性が常につきまとっています.この連載では,「データ」や「グラフ」を解釈するときのキーとなる基本的な考え方について紹介してゆきます.

(毎月中旬更新予定)

グラフは,それが適切に作られたならば,データに隠されたパターンを見つけるための素晴らしい道具となる.著者や話し手が,読者や聴衆に,論点を素早く的確に伝えるための大きな助けにもなる.

しかし,世の中には,「このグラフで何を言いたいの」と,その意図するところがはっきりしないグラフもあれば,「このグラフは誤った印象を与えるなあ,悪意はないのだろうけど」というグラフもある.さらには,「えー,ここまでやる? 」と悪意の存在がうっすらと透けて見えるものもある.コロナ報道で見かけた例を 3 つほど紹介しよう.

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

麻生一枝 サイエンスライター,成蹊大学非常勤講師.お茶の水女子大学理学部数学科卒業,オレゴン州立大学動物学科卒業,プエルトリコ大学海洋学科修士,ハワイ大学動物学Ph.D. 専門は動物行動生態学.「統計や実験デザインの理解は健全な科学研究に必須である」という信念のもと,これらの教育の普及に熱意を持って取り組む.著訳書に『科学でわかる男と女になるしくみ』 (SBクリエイティブ),『実データで学ぶ,使うための統計入門 ---データの取りかたと見かた』(共訳,日本評論社), 『生命科学の実験デザイン』(共訳,名古屋大学出版会),『科学者をまどわす魔法の数字,インパクト・ファクターの正体---誤用の悪影響と賢い使い方を考える』(日本評論社)など.