コロナ禍と民事司法のIT化(上田竹志)

法律時評(法律時報)| 2021.03.02
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」93巻3号(2021年3月号)に掲載されているものです。◆

1 民事司法のIT化の加速

(1) わが国における裁判手続IT化の経緯

現在、民事訴訟手続をはじめとする民事司法IT化の動きが、急速に進んでいる。

近時の流れについては、本誌でも特集が組まれたが(「特集 民事司法のIT化」本誌91巻6号〔2019年〕)、以下、これまでの経緯を概観する。

民事司法IT化の議論は、急に始まったものではない。同様のことは、平成13年の司法制度改革審議会意見書でも提言され、平成15年・16年の民事訴訟法改正でも、IT導入を可能とする規定が制定された。しかし、IT化に対する理論・実務の関心は低く、上記法改正に対応するシステム導入等もほとんどなされないまま、この課題は15年近く放置された。その間に日本の民事司法制度は、IT化の面で諸外国に大きく後れを取ることとなった(「失われた15年」「2周遅れ」などと評される)。

この状況を変えたのが、2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」であり、わが国の成長戦略の一要素として、裁判手続のIT化が挙げられた。そして、内閣官房における検討会1)、商事法務における研究会2)を経て、現在、法制審議会民事訴訟法(IT化等)部会(以下、「法制審」という)において、民事訴訟法改正を通じた民事訴訟全体のIT化が議論されている3)。なお、筆者は上記法制審の調査員を務めるが、本稿で述べる内容はすべて、筆者の個人的な見解である。

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脚注   [ + ]