「均衡処遇」の両義性:最三小判令和2年10月13日(メトロコマース事件)(野田進)

判例時評(法律時報)| 2020.12.04
一つの判決が、時に大きな社会的関心を呼び、議論の転機をもたらすことがあります。この「判例時評」はそうした注目すべき重要判決を取り上げ、専門家が解説をする「法律時評」の姉妹企画です。
月刊「法律時報」より掲載。

(不定期更新)

◆この記事は「法律時報」92巻13号(2020年12月号)に掲載されているものです。◆

最高裁第三小法廷令和2年10月13日

1 メトロコマース事件

(1) 最高裁5判決

2020(令和2)年10月、最高裁は、労契法旧20条に定める、有期労働契約を締結した労働者の労働条件に係る不合理な相違に関して、5つの判決を言い渡した。10月13日言渡の第3小法廷判決である、大阪医科薬科大学事件およびメトロコマース事件、ならびに10月15日言渡の第1小法廷判決である、日本郵便(佐賀)事件、日本郵便(東日本)事件および日本郵便(西日本)事件である。

いわゆる非正規格差に関する、異例ともいいうるこれら集中的な上告審の判断は、判例法理のどのような展開を意味するだろうか。本稿では、上記のうちメトロコマース事件判決を他の判決も目配りしつつ検討することでこれを考えたい。

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