(第11回)欧州のコロナ危機対応と対中関係(林 秀毅)

コロナ危機とEUの行方| 2020.11.13
2020年に入って突如世界を席巻し始めた新型コロナウイルス感染症は,2020年3月11日にはWHOによってパンデミック宣言され,依然として予断を許さない状況が続いています.このコラムでは,さまざまな立場のEU研究者が,「コロナ危機下のヨーロッパ」がどう動くのか,どこへ向かうのかについて読み解いていきます.(全12回の予定)

感染再拡大と経済活動への影響

欧州の新型コロナ感染が、急速に再拡大している。今秋、主要国では、いわゆる「第二波」の感染者数は今春のピークを上回る水準で増加し、一段とその勢いを強めている。10 月下旬以降、フランス、英国、スペイン、イタリア、ドイツなどの主要国が相次いで、外出制限、飲食店の営業時間短縮などに踏み切った。これにより、今年半ば以降、感染を抑制しつつ経済活動を再開し、双方を両立させようとする欧州各国の狙いは、困難になったといわざるを得ない。

では、そもそも新型コロナによる危機は、従来の経済危機とどこが違うのか。

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林 秀毅 (はやし・ひでき)
国際大学特別招聘教授・日本経済研究センター特任研究員。
1981 年東京大学卒業、同年日本興業銀行入行。ルクセンブルグ興銀、一橋大学客員教授、慶応義塾大学特任教授等を経て現職。日立総合計画研究所リサーチフェロー (欧州担当)。
著書等に『欧州通貨統合と金融・資本市場の変貌』(日本評論社)、『EU の証券市場』(日本証券経済研究所)、『EU は危機を乗り越えられるか --- 統合と分裂の相克』(NTT 出版、以上共著)、『国際金融アーキテクチャー』(バリー・アイヘングリーン著、東洋経済新報社、共訳)、日本経済研究センター『欧州経済・金融リポート』(毎月 10 日頃配信)、ラジオ日経『新興国情報』。