戦争とトラウマの歴史を書く(中村江里)(特別企画:トラウマ臨床の明日)

特別企画から(こころの科学)| 2019.10.25


心理臨床、精神医療、教育、福祉等の領域で対人援助にかかわる人、「こころ」に関心のある一般の人を読者対象とする学術教養誌「こころの科学」。毎号の特別企画では、科学的知見の単なる解説ではなく、臨床実践に基づいた具体的な記述を旨としています。そうした特別企画の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆本記事は「こころの科学」208号(2019年11月号)の、前田正治=編「トラウマ臨床の明日」に掲載されているエッセイです。◆

トラウマ概念は、1995年の阪神・淡路大震災などをきっかけにわが国に本格的に導入され、現在ではさまざまな臨床現場で欠くことのできない観点となっています。一方で、米国由来の心的外傷後ストレス障害(PTSD)という診断概念やその治療をめぐっては、多くの議論と試行錯誤が続けられています。トラウマ関連疾患の本質とは何であり、どのような治療を、どのような人に、どのタイミングで行うことが有効なのでしょうか。本特別企画では、この四半世紀のトラウマ臨床の歩みを振り返りつつ、その到達点と課題について整理します。

*「トラウマの歴史」研究の可能性

トラウマ(trauma)は、もともと「からだの傷」を意味する言葉であったが、欧米では19世紀末以降医学の対象となり、「こころの傷」を意味するようになった。はじめに、歴史学を専門とする筆者が、主に心理学や精神医学で論じられてきたこのテーマについて論ずることにどのような意義があるのかを考えてみたい。

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